お久しぶりの読書感想ブログです。
今回は、ヴィリエ・ド・リラダンの未來のイヴ。
実は読むのは2度目になるこの本。
感想を書いていこうと思います。
初めてこの本を読んだのは高校1年とか、もしかしたら中学3年の頃だったかもしれません。
キッカケは、ALIPROJECTの未來のイヴという曲。
当時、アリプロにものすごくハマっていて、アリプロの曲というか歌詞は色々な本からイメージが来ているものがあったり、タイトルでそれをにおわせている物があったり、していて、未來のイヴもそこから知った本になります。
この本は基本的に会話文で進んでいくのですけれど、難しい。
何が難しいって、漢字が難しい、会話の内容が難しい、と難しいポイントが2種類。
当時の私も四苦八苦しながら読みました。
今回改めて読み直して、漢字に関してはそこそこにクリアできていたと思いますが、会話の内容についてはやっぱり難しい。
発明王エジソンと青年貴族が話していくのですけれど、とにかく専門用語というか、電気を使った様々な発明品の説明やら何やら…。
回りくどい言い回しや、比喩表現など、正直面倒だと感じてしまう部分が多々ありました。
本題に入るまでの長い飾られた会話文を読んでいくのはなかなか…。
私には変わらずハードルの高い本でした。
イヴの降臨
この本は、要約してしまうと、
青年貴族はとんでもない美人の恋人が居るのだけれども中身がよろしくない。
そこで、エジソンが恋人にそっくりな人造人間を作り出す、というもの。
とにかくその話に至るまでの会話が長く、欠伸混じりに読んでいたところはあるのです。
エジソンと青年貴族が話す、いわゆる理想の女性像の様なものも、100%理解できたか?と聞かれると返答に困る感じだったりします。
理想の恋人の元となる人造人間ハダリーは、知的でお淑やかな性格と物言い。
完成した姿は、青年貴族が人間の自分の恋人と間違える程。
完璧な容姿と完璧な中身を備えたハダリー。
男性の理想の女性と言ってしまえばそれまでですが、でも、そういう物として存在するんです。
現代にこの物語に出てくるようなエジソンのような人が居て、理想の女性を作り出す事ができたなら…。
今の時代ならばもう夢物語ではないのでしょうけれど、
でも、実際に作り出す事ができてしまったら、それって人間の始まりなのか終わりなのか、と私は考えてしまいました。
理想が作り出せてしまうなら、リアルな本物の人間の需要って無くなっていくのではないか?と。
皆がみんな、理想の恋人を求めていて、人間よりも完璧な人造人間に目を向けるのではないか?と。
だって、この本では、人間かそうではないのかの見分けが付かない程に完璧に作られるんです。
それが現実で可能ならば…
考えていけばいくほど、なんだか恐ろしい答えが待っているような気がします。
あっけなく
物語の終わりで、イヴであるハダリーは消滅します。
つまり、青年貴族は理想の恋人であるハダリーとの甘い生活をする事もなくハダリーを失うんです。
そして、青年貴族もその命を絶ったのだ、と私は解釈しています。
長ったらしい文章の最後、ようやく表れたイヴは消滅する。
当時の私はこの終わりにとても脱力して、もうこの本は読みたくない、と思いました。
それくらい、今までの労力を全て裏切られた気がしたんです。
でも、今読んでみるとこれが救いなのではないか?と感じました。
救いというのは、人類の救い。
未来のイヴもしくはアダムがこの世に当たり前に存在するようになってしまったら、きっと人類は滅びるだろうな、と。
だから、夢は夢のまま終わって、それでお終いにしてしまうのが一番なのではないか?と感じたんです。
科学の技術が進んでいる今。
イヴやアダムは作り出せるのかもしれませんね。
いつかは、普通に生活の中に溶け込んだ存在になるのかもしれません。
そのいつかが何時なのか、私には分かりませんが、
イヴやアダムとの恋愛は赦されるものになるのでしょうか??
にほんブログ村