砂糖水と雑記帳

なんでもない日常の雑記帳 ~猫と暮らしてゲームして~

【読書】毒を抱いたのは母か娘か…

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今回は、湊かなえさんの『ポイズンドーター・ホーリーマザー』を読んでみた感想など書いてみようかと思います。

 

この本を読んでみようと思ったきっかけはドラマ。WOWOWでドラマ化されるという事を知り、原作に興味が出たのです。

湊さんの本を読むのは初めてなのですが、映画『告白』やドラマ『夜行観覧車』は、私の好きな作品だったので、湊さんの書かれた文章を読むのを楽しみに購入しました。

 

 

 

 

毒母・毒娘

6編の短編からなるこの本。母と娘の少し息苦しいような関係性が角度を変えて書かれているように感じました。

一番最初の『マイディアレスト』で湊さんのストレートパンチを食らった感覚になり、そこから一気に物語を読んでしまいました。

6編すべて読んだ今、一番のお気に入りの物語はやっぱり『マイディアレスト』です。最初のパンチの衝撃が強く、印象的に物語が私の中に残りました。

 

さて、本のタイトルでもある『ポイズンドーター』と『ホーリーマザー』。毒親という言葉を聞くようになり、母親との関係に悩んでいる人が居る事は知識として知っています。また、知り合いにも悩みを抱えている方が居て、私自身も母親との関係性に関しては問題が無いと言い切れない立場です。

そんな立場の私が私の目線でこの2編のお話を読んでみて、『ポイズンドーター』では収録されているその他のお話と同様に娘の視点から語られる苦しみがよく分かり、読んでいるだけの私もなんだか息苦しく感じられました。

母親に対しての伝えきれない感情や届かない想いのようなものを抱えている私には当てはまりすぎる程の息苦しさが描かれていると思い、次の『ホーリーマザー』を読む手が一瞬止まる程でした。

 

ホーリーマザー』は、『ポイズンドーター』で毒母として書かれていた女性について、娘以外からの視点で描かれます。

ホーリーマザー』を読むと、母と娘の間にある埋められない溝の様なものを感じました。母親に対して、娘から想いや本音を伝えた事があるのか?という問いの様なものを真正面から突き付けられた気がしました。

母親も娘であった、という事も忘れてはならない大きなポイント。分かり合えない関係性は視野の狭さが原因なのかもしれない…と文章を読みながら自分を振り返りました。

 

私自身が毒娘であるのかもしれない、と創作された物語から現実を見る様に、と諭された気分に。

 

イヤミス

湊さんの書かれる文章はイヤミスと称されますよね。読書後にちょっと嫌な気分になってしまうけれども中毒性があり、次々と手が伸びてしまう。

湊さん原作の映画やドラマを見ていた私。今現在放送中のドラマ『リカ』もイヤミスに入るのではないでしょうか?そして、私はそのように分類される物語が好きなのだ、と今回の読書で強く感じました。

 

心がざわつくような文章を好んでしまう自分をちょっと歪んでいるのではないか?と感じる事もありますが、世間には同じようにイヤミスを好み、湊さんの作品を愛する人が居るのだからと、変な自信を持ってしまったり。

 

そう言えば、夜行観覧車でも母と娘の関係について描かれていましたね。原作は読んだ事が無いのですが、ドラマを見て娘の視点から母親の無理解さを情けなく感じていました。

しかし今回読書してみて、母も娘であったという事を抜いて考えてはいけないのだ、と強く感じられました。

だからこそ、毒親問題と言うのは難しい問題なのだ、とも感じたのです。

 

正しい親

私もいつか人の親になる事があるのかもしれません。予定は未定の状態なので、そこに関しては何も言えませんが、良い親になりたいと漠然と思います。それはきっと、親となる人ならば誰もが抱く思いだと思うのですが、その感情が行き過ぎた時に毒を持った親となってしまうのかもしれません。可能性の一つ、という話ですが…。

 

毒親に育てられた子供は同じような傾向を持つ事が多いと聞いたことがあります。これは、アダルトチルドレンの問題にも繋がってくるように感じます。

負の連鎖を断ち切る事はできるハズ…。

そう考える事でよく分からない不安を拭ってみたりしています。

 

今回の読書は色々と考える事がありました。創作としての面白さと、現実を見た時の不安感の様なもの、その二つを抱いて読み終えた本はやっぱりイヤミスなのだと思います。

 

 

 

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