2組の親子の対比が印象に残ったどうする家康45話。
二人のプリンスとタイトルがついていましたが、かなり色味の違う2人。
淡く光る1人と、くすんだ1人に見えてしまった。
プリンスたち
秀忠
徳川秀忠、偉大なる凡庸と称された彼の苦しみは、現代人にもわかる部分が多いように感じます。
大きな企業の二代目とか、家の二代目とか…そういう同じ立場・肩書の人はもちろんですが、偉大な親を持った子供って考えると、もっと広く当てはめて考えることが出来そう。
偉大な父から将軍職を引き継いだは良いものの…って感じでしょうか。
凡庸であるということは、きっと秀忠自身が一番よく分かっている。
だから、不安で、父である家康に対しても「負ける自信がある」と言っていて。
それが彼の強さであるということを、家康はよく分かっているんですよね。
人を惹きつけるのは武力や財力といった強さではなくて、人としての素直な弱さ。
それを吐露できる強さを持った秀忠こそ、新たな時代の先頭に立つことが出来る人物だと。
今まで徳川家康という人物の物語を見てきて、家康が新しい時代を作るのだと思っていました。
が、家康ではそれはなし得ない。
なぜなら彼は戦の時代の人間だから。
未来への懸け橋を作ったのが家康で、新しい時代を作っていくのはその次の秀忠なんだなーと感じました。
家康自身もそれを分かっているから、秀忠に未来を託している。
きちんと向き合う父と息子は、きっと同じ未来図を持っているはず。
そう、希望が持てる2人に見えました。
秀頼
ずっと大阪城に籠っていた豊臣秀頼。
想像以上に立派な姿に民衆は見とれて、「さすが関白殿下の息子」なんて称賛していた。
知略に長け、人を出し抜ける才を持ち、腕も立つ。
世が世なら未来明るい若者でしょう。
が、今のあの世では時代遅れとしか言いようがない。
これって、秀頼に非があるというよりも、茶々が時代遅れの人間だからそうなったのだろうと捉えました。
そもそも彼女も外を知らなすぎる。
というか、見ようとしていないというか…。
19歳の立派な若者であれば、きちんと家臣たちをまとめる力もあるでしょう。
少なくともそれだけの人物であるはずの秀頼。
でも、大阪城で一番偉いのは茶々。
必ず秀頼の横に控えて指図をしているわけですよね。
秀頼が何もできない、「母の手を離れたら心配!」みたいな若者であれば分からなくも無いですけど、だれがどう見たって立派な若者なのにその傍にべったりしていて。
ひたすら秀頼という人物が可愛そうに見えてしまった。
プリンスっていう肩書も、なんかプリンス(笑)みたいな…。
そういうニュアンスが感じられてしまうのは、常に茶々がチラつくからなんだろうなぁ。
人に恵まれるということ
頑なになった家康の心の傍に寄り添ってくれた氏真。
人物相関図を見たら糸さんは既に亡くなっている表記になっておりました…。悲しい。
大御所様となった家康の横に並んでくれる、肩を抱いてくれる、一緒に泣いてくれる、貴重な人物である氏真。
「弟」って呼びかけてくれる優しい兄です。
家康もきっと彼単体では秀忠同様に凡庸だったのでしょう。
少なくとも信長とか秀吉的な突出した何かってない人だと思うし、そのように描かれているのだと感じています。
が、彼には人に恵まれるという才能があった。
今まで傍近くに居てくれた家臣たちはもちろんですが、歳をとって立場が上がっても同じように手を取ってくれる人が居るわけです。
偉くなったからって無駄に手を揉んでお伺いを立てるような人物はいない。
あの2人のシーンは、そういった意味でとても今作の徳川家康という人物を印象的に描いているなぁと感じました。
これからあと数話、どう終わりに向かって行くのかを静かな気持ちで見守りたくなりました。
ちょっと浄化された気持ち。