砂糖水と雑記帳

なんでもない日常の雑記帳 ~猫と暮らしてゲームして~

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【感想雑記】チョコパンで泣いた。

気になっていた映画が運良くYouTubeで期間限定で公開されていたので視聴しました。

震える舌』という破傷風の恐怖とそれに向き合う人々を描いた映画。

2時間の映画でしたがそれがあっという間に感じられるくらいの緊張感と没入体験でした。

子役ちゃん、すごかったです!

時代感、

震える舌の原作小説は1975年に出版されています。

作者の三木卓さんの娘さんが実際に破傷風に感染したことから、それをモチーフに書かれた作品らしい。

映画は1980年に公開されていて、時代感としてはそのくらいのもの。

物語や破傷風の恐怖についてはもちろんなのですが、何より気になったのが病院の環境の違い。

待合室や廊下の長椅子の前に灰皿が置かれていて、普通にタバコ吸ってるんだよね。

主人公も喫煙者で、ナースステーションの前にある電話で電話しながらタバコ吸ってる。

もちろんだけれども、それを見ているナースさんたちはそれを注意はしない…。

「時代だなぁ…」と思ったシーンでした。

今では院内どころか病院の敷地内も喫煙禁止のところが多いと思います。

そもそも街中でも吸える場所が少なくなっている時代ですし。

こういう時代を知れるのも、映画の良いところですよね。

恐ろしい、破傷風

さて、破傷風

主人公の娘である昌子ちゃんが湿地で遊んでいたところ、泥の中の何かで指先を切ってしまったことで感染します。

現代では破傷風のワクチンを幼い頃に接種している人がほとんどなので、感染率は低いものになっていますが、当時は未だワクチンを打つというのは一般的ではなかったんですよね。

娘の異常に気付いて病院に駆け込んで、何度目かの診察で「破傷風」と診断されます。

父親は髄膜炎とか脳腫瘍など他の病気の可能性を医者に聞いていて、破傷風と診断されるとほっとした顔をするんです。

でも、それを見た医師(教授先生)が破傷風の恐ろしさを父親に語って聞かせる。

患者数は少なく、致死率は高い、そんな病気であるという部分が親からしてみると絶望的な情報で…。

それを父親は妻には言えないんですよねぇ。

この流れがものすごくリアルに感じました。

自分の想像できる範囲の最悪ではなかった安堵と、よく知らない病気に対しての不安と…。

娘の昌子ちゃんが診断のための検査を色々と受けている場面は、心がキュッとなりました。

とくに、髄液を取るために背骨に注射する場面…!

私も幼い頃に経験があるので、つい眉間にしわが寄ってしまった。

骨に注射するのってマジで痛いのよねぇ。

しかも昌子ちゃんは「やっと幼稚園に…」と言われていたので、4歳くらい。

私がその注射をしたのは10歳の頃なので…。

4歳であんな痛みを経験するなんて…って思っちゃった。

ただ、この映画で言うならこの背骨への注射なんて序の口。

その後の破傷風の発作やそれを治療するために大人たちが昌子ちゃんを取り囲むシーンは、辛かった。

治療の為と分かっていても「やめて!」って思ってしまうくらいの映像でした。

親の経験のない私がそう思うのだから、実際にお子さんが居る方々からしたら本当に辛いシーンの連続の映画だと思います。

ただ見ている事しか出来ない両親も、「発作が起こるのでは!?」とびくびくしつつ、自分たちも破傷風に感染しているのではと恐怖に飲み込まれつつの看病で…。

そもそも病院って元気な人でも疲れてしまうような空気感だったりする場所で、救いの見えない中で娘に寄り添わなくてはいけない辛さは想像以上の物だと思います。

両親がどんどんとやつれてギスギスしていく感じもリアルだったなぁ。

本来は仲の良い夫婦だからこそ、ここも切なかった。

光とチョコパン

昌子ちゃんに刺激を与えないように真っ暗にしていた部屋に光が入り、呼吸器(?)が外れてひと言目に「チョコパン食べたい」って言葉が出てきたときに泣きました、私。

痙攣が起きている間も昌子ちゃん自身は意識があったのだろうと思います。

自分の身体が音や光の刺激で言うことを聞かなくなって、ガクガク勝手に動いて。

処置の為とは言え大人たちに取り囲まれて、抑え込まれたり痛いことをされたり…という経験はどれほどの恐怖だったのでしょう。

お母さんにもお父さんにも、目いっぱい甘えたくなるよねぇ。

個室から大部屋に移った初日。

夜に母親が心配して病院に確認の電話をしている姿もなんだかジーンときました。

「大部屋のみんなはぐっすり眠っている」ということを確認して安心して笑う姿にも、泣きそうになった。

子供の経験から

私は親の経験はありませんが、子供の経験はあります。

上にもちょっぴり書きましたが、10歳の頃に3ヶ月ほど入院をしていました。

原因不明の高熱と頭痛と…っていう症状だったので、髄液を取ったのです。

結果としては『マイコプラズマ感染症』という診断だったのですが。

私が入院していた3ヶ月もの間、祖母や父が毎日来てくれていた。

昼間は祖母、夜は父が私の傍に居てくれたのです。

また、母は私の好物を作って持って来てくれたりもした。

映画を見ていてそういう事を色々と思い出しました。

破傷風とか重篤な病気の場合、家族のサポートのみでは負担が大きく家族も共倒れになってしまうことも想像されます。

精神的にも肉体的にも追い詰められて欲しくはない…。

映画を見ながら、両親に色々と看病や傍に居る事を期待しないであげて欲しい…なんて思ってしまったのですが、でも子供からすると不安な時不安な場所で家族がそばに居てくれるのってとても安心する。

そういう気持ちが病に打ち勝つ鍵にもなりうるから病院の人たちも両親に看病のことなど色々と言ってたのかなぁ…なんて映画を見終えてから考えています。

見られて良かった

緊張感や緊迫感のある映画ですが、見られて良かったです。

YouTubeでは既に公開期間が終わっているようですが、アマプラとかで見られるらしいですよ。

「おすすめ!」と大きな声で万人にお伝えはしませんが、
気になった方は見て損はない作品だと思います。

www.youtube.com