「だろうな、」という感覚の連続だった今回。
そのせいかあんまり感情移入が出来るような話の流れではなかったように感じています。
その分距離を持って冷静に見れたお話だったかな。
想定通り、
兼家が道長たち兄弟を呼び跡取りについて語る場面。
自分の跡を任せるのは長男の道隆であると告げたことに激昂する道兼。
今までを見ていたこちらとしては「でしょうね」ってなる流れですけど、道兼としては本当に自分が跡取りになれると思っていたのでしょうね。
ただひたすらに哀れな人物として描かれているのかもしれませんが、ここまでくると滑稽です。
兼家の思うままに育てられた操り人形。
その人形を操る人物が居なくなったため、どうにもならなくなるパターンのやつ。
この先彼が何かしらの動きを起こすのだとしても、今まで動かされていた彼が自分で考えて何がしかの事を成すというのはとても難しいでしょうね。
どう考えても可愛がられていないことは明白なのですが…。
道兼としては、「父にとって自分は特別」って本当に思っていたのかもしれませんけどね。
黒く黒く育てられた道兼の一方で、ちょっとの曇りも無く育てられた道隆。
真っ白まっさらな人間も、歪です。
だからこそ、陰陽を持ち合わせた道長が最後に勝つのでしょうね。
そういう兄弟の差異がとても分かりやすく描かれている気がします。
「なぜ道長だったのか?」っていう部分も、この流れを見ると納得できますね。
もう1つの、だろうね。
兼家のことを必死に呪っていた、明子。
結果として彼女が望むように兼家は亡くなりましたが、果たして彼女の呪いの効果なのでしょうか?
そもそも老いている兼家。
放っておいても勝手に亡くなる…とか言うのはヤボなのかもしれないけれど。
呪われた人間の最後としては、あまりにも美しすぎる気がしました。
もっと痛み苦しみもがいて…みたいな最期なら「あぁ…」ってなるけど。
兼家の最期の姿、映像としてとても美しいものだと感じたので、上り詰めた者の最期という意味合いしかそこには読み取れませんでした。
穏やかではなかったのかもしれないけど、立派な最期です。
ま、メタ的な事を言うなら、大河ドラマで『呪われて殺されました!』というような描き方は難しいのかもしれませんけど。
もしくはあえてそう描いたのか…?
見ていて私は明子の行っていた呪詛は無駄だったのだろうと感じました。
ただ、人を呪うという行為の代償としてお腹の子を失った。
つまり、彼女はひたすらに損をしたのかな、と。
多分、明子は道長のことが好きなのだろうし、子供への愛情もあったのだろうし。
それを前提に考えると、明子は無駄をして終わったのかなーと。
ま、彼女自身の心が晴れるのであればそこに意味はあったのかもしれませんが。
終わり行く命と生まれ出る命を天秤にかけて終わる方を取ったわけですよね。
さて、次。
倫子が怖かったですね、そう言えば。
明子が子を失った事をとても喜んでいるのが分かりやすく出てました。
わざわざ道長にそういう話を持っていくあたり、やっぱり怖い人です。
彼女がひたすらHPに書かれている人物紹介の文章と一致しないんだよなぁ…。
道長と倫子や明子が見ている世界が違うというのがよく分かる回だったと思います。
それが次回以降どうなっていくのか…ってところが注目ポイントなのかな。
家の中にしか世界が無い女性からしてみれば、自然とああいった振る舞いになるのかもしれませんけど。
そういう閉塞感が続くと、どんよりしちゃうよね。
ただ次回予告でまひろが外に出ていた様子が伺えたので、それだけが楽しみかも。
彼女が今の段階で自由に居てくれているのだけが、私の中での救いになってます。
色恋のドロドロとか興味ないので…。