「感想何書こうかなぁ〜」と考えていて、「そういえば今回は駿河屋の旦那様も源内先生も出てこなかったな…」と。
フックとして描きやすい人物がいないと、書き出しに困るのはいつものことなのですが。
それでも面白い話であることには変わりはないのです。
表裏一体
今回は「上手いなぁ〜」と思わずにはいられない回でした。
前回の終わりから引き継いだ出版の謎というか、闇。
勝手に節用集を出版していた鱗形屋のその化けの皮が剥がれるというのはタイトルからも想像はできました。
ただ、この鱗形屋の旦那の描き方が秀逸だった。
確かに悪いことはしていました。
しかし、その一方で本を作ることが好きなのだと言う気持ちは、本物。
蔦重と青本のアイデアを色々と出している時のあのキラキラした瞳も、本物。
ただその一方でお店の経営が難しく、一線を超えてしまったのも本当。
そもそも蔦重を駒として上手く取り扱いたいという気持ちも、本物。
人間って善悪が表裏一体じゃないですか。
でも、これをドラマなどの創作で描こうとすると、難しくなると思うんです。
単純にキャラクターが掴みにくくなるだろうし。
ドラマとしては伝えたいメッセージをきちんと受け取ってもらうためのキャラクターのレッテルは、必要不可欠な部分もあると思うんです。
そんな中できちんと1人の人物の表裏・善悪を描いている。
これは、その後の蔦重の心境もそうですよね。
というか、メタ的に言うならドラマとしては蔦重がやっぱり大事なキーだから、そこに持っていくための鱗形屋の描かれ方だったのでしょう。
そういう逆算をしていくと、「上手いな」という言葉に集約される気がします。
やっぱり決まらん
そうそう、久しぶりに出てきた長谷川様。
ビシッと格好よく働いている姿を見せてくれたかと思いきや、蔦重との会話の中で「今俺格好いいこと言った」みたいな思いが顔に出てしまうところがあり…。
こういう決まりきらないところが、この人の魅力ですよね。
いずれは粋が溢れる良い男になるのかもしれませんが…。
今の所、3枚目的立ち回りが光る人です。
伏線色々
今回蔦重は鱗形屋から決定的に恨まれた(のでしょう)。
これは後々の彼にとって大きな障壁になる出来事だったのだろうと想像ができます。
また、田沼家では意知の死に繋がるのであろう出来事も発生し。
ついでに政の中でも色々と蠢くものが見え隠れし。
なかなかにいろんな物事が詰まった回だったように感じます。
物語の展開が丁寧でありながらも速さや軽やかさを感じるのは、やっぱり江戸っ子を多く描いているからなのでしょうか?
見ていて小気味良いドラマで、とても楽しいです。